物質・情報卓越教育院とは

物質・情報卓越教育院の目的及び概要

目的

物質・情報卓越教育院では、修士博士一貫の大学院教育プログラムにより、物質と情報をリンクさせ、情報科学を駆使して複眼的・俯瞰的視点から発想することで、独創的な物質・情報研究を進める「複素人材」の育成を行います。
持続可能な社会を構築するための新産業創出を担う人材の育成を、企業に所属するプログラム担当者や特定国立研究開発法人物質・材料研究機構とともに推進します。

情報を使いこなして物質を開発し、新産業を創出する複素人材を育成します。
複素人材とは、物質科学、情報科学、そして社会サービスまで、すなわち「複素空間」で縦横無尽に活躍できる人材です。ここで言う「物質」とは、実社会における「モノ」を指し、単に化学・材料としての化合物にとどまらず、デバイス・プロセスも包含します。


「物質科学」と「情報科学」の垣根を軽々と飛び越えることで、物質、デバイス・プロセス、社会の階層を意識せず俯瞰的に考え、新しいものおよびサービスを創造し、持続発展可能社会に貢献する情熱を持った人材を育成します。

概要

本教育院では、東京工業大学が持つ卓越した研究教育環境(元素戦略センタースパコンTSUBAME等)と総合力を活かした教育を展開します。物質または情報に関する高度な専門力を持ちつつ、以下の能力を発揮する複素人材を輩出します。
  • (1) 物質と情報の両分野にまたがる新しい方法や考え方を生み出す独創力
  • (2) 大量の情報から本質を抽出し、課題を設定する俯瞰力
  • (3) 原子・分子レベルから社会サービスまでスパイラル的に繋げる構想力と実現力
  • (4) 多様なメンバーの中でイニシアティブを発揮し、構想を世界に展開する国際リーダーシップ力

本教育院では、背景の異なる優秀な学生がチームを組んで様々な問題解決に挑戦することにより多様な考え方を学び、分野の壁を乗り越えるマインドを涵養します。

具体的には、複素人材が持つべき能力の涵養を目指して、以下の施策①-⑫を実施します。

(1)独創力① 演習を重視した物質・情報講義
② 異分野共同研究を中心とした異分野特定課題研究
自主設定論文により、異分野の課題を自ら設定・解決し、複素的な独創性を育む
(2)俯瞰力④ 物質・情報教育課程における社会サービス創出講義
未来社会サービス創出ワークショップ
⑥ 企業メンター制度により、大量の情報から正しく社会の課題を見いだす能力を身につける
(3)実行力⑦ 企業の最先端の課題をグループで解決するプラクティススクール
研究奨励制度および③自主設定論文により、異分野における課題解決を通し、実行力を養う
(4)国際
リーダー
シップ力
⑨ リーダーシップ教育院におけるリーダーシップ力涵養教育
海外インターンシップ
⑪ グループで課題解決する物質・情報教育国際フォーラム
⑫ 海外メンター制度により、リーダーシップ力および国際性を涵養する

詳しくはカリキュラムをご覧下さい。

物質・情報卓越教育院の運営体制

プログラム担当者

プログラムコーディネータ・
副コーディネータからのメッセージ

 物質・情報卓越教育院では、物質(r)と情報(i)を自在に操り、「ものつくり」を社会のサービスに繋げて考える「複素人材」を育成します。「複素人材」とは、我が国が得意とする「ものつくり」を、情報科学を駆使して、デバイスや生産プロセスにとどまらず社会で必要となるサービスにまで繋げて発想し、持続可能な社会に貢献する新産業やそれを支える新学問を創出する人材です。本学の物質・情報に関する研究・教育力を結集し、さらに産業界の方々のご協力のもと、修博一貫の国際的にも卓越した博士教育を実施します。卓越した(TAC)材料インフォマティクス(MI)を駆使できる「複素人材」に期待してください。物質・情報で世界をリードしたい学生の方、本教育院をサポートしてくださる産業界の皆様の参加をお待ちしております。プログラムコーディネータ 教育院長 山口 猛央

学生さんへ
 世の中は変化し続けるものです。その変化を「加速する者」を、私は本卓越教育院で育みたいと考えています。一つのことにしがみついていては進歩はありません。常に挑戦し続けることが重要です。そのためには自分自身に制約を作らず、オープンなマインドで戦略的に物事を進めなければなりません。
 本教育院では、実験系の学生さんでも、X線回折やガスクロマトグラフィーを使うように情報科学のツールを使いこなせるようになるでしょう。それは始まりに過ぎません。世界、そして時代における自分の立ち位置をリベラルアーツ教育を通じて認識し、社会の動向を見極め、物質・情報を武器として独創的な仕事をして欲しいと願っています。

企業の皆様へ
 新しい教育の形を一緒に築いていきたいと考えています。その時その時の最先端の考え方、技術を柔軟に取り入れ、社会に変革をもたらす人材です。新しい教育体制の構築は大変チャレンジングな仕事です。
 これまでの大学の前例や慣習に縛られることなく、「新たな産学協働教育を作り上げる」ことが本卓越教育院のミッションです。企業の皆様の意見をお聞きし、それを前向きに検討して具現化することが私の役割です。

副コーディネータ 副教育院長 一杉 太郎

 将来、学界で活躍することを目指す方々のみならず、産業界での活躍を目指す方々にとりましても、博士号は今後、益々重要なものとなっていきます。

 多くの方々が本教育院で学び、物質科学・材料工学と情報学の双方に通じた博士として今世紀のグローバル社会を牽引していく力を身につけることを希望いたします。

副コーディネータ 斎藤 晋

  現在大学院生のみなさんが社会の第一線で活躍する頃、物質科学研究のあり方は情報科学との融合によって様変わりしていると考えられます。今の時代の研究者が聞いても理解できないような概念や方法論がたくさん生まれ、現時点では存在しない学問分野が物質科学の中心になっているかもしれません。そして、新たなアプローチによる「ものつくり」は、まだ誰も予想していない産業や社会サービスを生み出していることでしょう。そのような新しい時代を切り拓く人材育成のために、本教育院では物質科学と情報科学の両方を使いこなせる力、また研究を社会サービスにまで結びつける力を修得するカリキュラムを用意しています。特徴的なものに、演習と実践を重視した物質・情報講義、そして企業の課題を実地で解決するプラクティススクールがあります。
 博士課程は、それぞれの専門分野で新しい山を自ら築く経験を通して、研究の方法論を体得する重要な期間です。山を高く築き上げる専門力を各所属コースで身につけるとともに、本教育院で物質・情報の融合が生み出す新しいアプローチを時代に先駆けて学ぶことで、誰も見たことのないような山を築いてゆく開拓者になっていただきたいと期待しています。

副コーディネータ 後藤 敬

 私たちの社会を取り巻く現状は、ロボットとAIにより劇的に変わろうとしています。2018年度に採択された本プログラムが終了する頃、社会はさらに大きく変化していると考えられます。このように、社会が大きく変化しているとき、若い皆さんには様々なチャンスが生まれると私は考えます。このチャンスを掴み、新しく変化していく社会の中で活躍していくための新しい教育の枠組みが、この物質・情報卓越教育院にはあります。
 一方で、社会にはSDGsをはじめ、解決すべき課題が多くあります。私は、皆さんが新しい教育の枠組みで育っていく中で、情報や物質の最新技術を学び、使いこなせるだけでなく、社会の問題にも目を向けて解決できる人材になって頂きたいと考えています。先端的な技術を学ぶ座学や演習、実際に企業で問題解決に取り組むプラクティススクール、ビジネスモデル討論会や国際フォーラムは皆さんが高度な知識や経験を得るための一助となると考えています。
 それに加えて、社会にある問題を考えていく為に、本学が力を入れるリベラルアーツ教育についても、物質・情報卓越教育院では力を入れる予定です。
 進取の気性に富む皆さん、共に新しい教育の実践をしていきませんか。

副コーディネータ 関嶋 政和

物質・情報卓越教育院
専任教職員の紹介

私は、30年余りにわたる経験を有する量子化学計算のエキスパートであり、世界標準の量子化学計算ソフトGaussian16の解説書「電子構造論による化学の探究・第3版」の訳者でもあります。
量子化学計算は、コンピュータの大幅な計算能力アップに伴い、化学反応の機構や現象の解明にとどまらず、反応性予測や物性予測にも応用されるため、実験系物質研究者にとって無くてはならないスキルになってきました。また、近年、重要性を増すマテリアルズインフォマティクスにおいても、量子化学計算の役割は重要になっています。しかし、その背景や使い方をマスターすることは容易ではありません。そのため、私の長年にわたる研究・教育の経験を活かしてサポートを行いたいと思います。また、量子化学計算に関するコンサルティングにも対応いたしますので遠慮なくご連絡ください。

物質・情報卓越教育院 特任教授 川内 進

量子力学に立脚した理論物質・材料科学と、量子コンピュータアルゴリズム開発が私の専門分野です。具体的には、第一原理計算に立脚した物性解明や新機能物質探索、デバイス開発、さらには(古典計算機、量子計算機、またはその両方のハイブリッド計算機を用いた)新しい計算手法の開発に携わってきました。
近年の計算機パワーの増大や、新しいタイプの計算機の出現によって、これまで実行不可能であった膨大な計算・解析が実行可能になりつつあります。計算機パワーを使いこなし、自由な発想と柔軟な思考を武器に、今のこのチャレンジングな時代を一緒に楽しみましょう。

物質・情報卓越教育院 特任准教授 松下 雄一郎

機械学習を用いた創薬と、最近ではマテリアルデザインについて、実際に新規物質を発見する研究と新規手法を開発する研究の両方をしています。学生の皆さんとは主にプラクティススクールやマテリアルズインフォマティクスの講義で関わることになると思います。多くの方が情報科学に興味を持ってくれて嬉しいです。皆さんが材料科学と情報科学の架け橋たる人材になれるよう応援していきますので、よろしくお願いします。

物質・情報卓越教育院 特任講師 安尾 信明

私は企業において約35年の間、半導体パターン用リソグラフィ装置、産業用X線CT装置、高エネルギーX線源の研究、製品開発をリーディングして来た経験がありますが、製品仕様に大きな制約を課すのが、利用できる材料の特性限界でした。紫外領域の電磁波に対し安定した高透過率を示すのは石英や蛍石しかありませんし、高剛性低膨張金属としてはスーパーインバー、磁気シールドとしてはパーマロイ、高融点材料としてはタングステンと言った具合です。
2019年3月1日に産学協創教育コーディネーターとして着任しましたが、上記のように社会サービスに近い側を歩んで来た私にとって、物質科学と情報科学を駆使して効率良く材料の最適設計やプロセス最適化を行う手法、そこにスーパーコンピューターによる高速計算やロボットを利用したデータ取りの自動化を併用する高速化手法には、サステナブルな地球と人類のより良い未来に向けての無限の可能性を感じます。
学生の皆さん、企業の研究者の皆さんが、物質・情報卓越教育院のプログラムを利用して、社会サービスを見据えた未来図を描き、マテリアルズインフォマティクスを駆使して材料革命をもたらす力を持った人材に育って行くことを楽しみにしています。そのために、皆さんの声に耳を傾けると共に、企業や社会が求める卓越博士の姿をいつも念頭に置きながら物質・情報卓越教育院の各種施策に反映させていきたいと考えています。

物質・情報卓越教育院 産学協創教育コーディネーター 鈴木 一明

連絡先 東京工業大学 物質・情報卓越教育院事務局
tac-mi[at]jim.titech.ac.jp