活動報告

2019年度ビジネスモデル討論合宿・国際フォーラム開催 ①

<前半>

出発式・サイトビジット・ビジネスモデル討論

 物質・情報卓越教育院(TAC-MI)では、12月2日~6日までヒルトン小田原リゾート&スパ(神奈川県小田原市)にて、ビジネスモデル討論合宿・国際フォーラム(TAC-MI 1st International Forum)を開催しました。

 この討論合宿・国際フォーラムは、海外から参加した学生とのグループ活動を行い、自分自身の知識・経験から気付いた課題について、未来社会での解決策を考えることで、俯瞰力・リーダーシップ力を鍛えるものです。また、海外アドバイザー教員や企業関係者、本学プログラム担当教員を前に英語での研究発表を行うことで、国際コミュニケーション力の向上を図ることを目的として、毎年1回開催するイベントです。

 今年度は、本教育院の博士後期課程の学生は全員参加、修士課程の学生は任意の参加として、合計26 名の学生が参加しました。また、物質・情報卓越教育院の海外プログラム担当者(海外アドバイザー教員)が指導する博士課程学生8名が海外から参加しました。12月4日(水)からは本プログラムの連携企業関係者や本学プログラム担当教員、海外アドバイザー教員など約60名がグループワークの最終発表会及び国際フォーラムに参加しました。

TAC-MI 1st International Forum参加者集合写真

1日目午前 出発式

 1日目の12月2日、東京工業大学大岡山キャンパス西9号館ディジタル多目的ホールにて、出発式を行いました。出発式前半は、山口猛央教育院長からの開会の挨拶に続き、本教育院のプログラム担当教員である環境・社会理工学院の西條美紀教授よりグループワークのガイダンスがありました。また、グループワークのメンバー発表があり、これから5日間を共に過ごすグループの仲間たちと自己紹介を行いました。出発式後半には、環境・社会理工学院の室町泰徳准教授が、グループワークのテーマに関連する話題として「Mobility Service in the Future」について講演しました。

出発式

室町准教授による講演

1日目午後 サイトビジット

 1日目の午後は、株式会社東芝の研究開発センター(神奈川県川崎市)及び日産自動車株式会社の先進技術開発センター(神奈川県厚木市)を訪問しました。東芝ではCO2削減、太陽電池を含むエネルギー及び社会インフラへの幅広い取り組み、自律型産業用ロボット開発についてご紹介いただきました。また、日産自動車では、将来モビリティと車両電動化への総合研究所の取り組みについて俯瞰的な視野からご説明いただきました。学生たちにとっては、普段の研究から離れ、翌日からのビジネスモデル討論へのマインドセットになりました。

2日目・3日目 ビジネスモデル討論

 2日目の12月3日と3日目の4日はビジネスモデル討論のグループワークを行いました。このグループワークは、これまでの研究経験を生かしつつ、リーダーシップを発揮して、社会課題の解決につながるビジネスを生み出すために、複合的で俯瞰力のある視野を持った人材を育成することを目的に実施されました。2日間のグループワークでは “Future sharing economy & materials and information science”をテーマに設定し、6グループに分かれて、実在する社会課題に対し、理解を深め、異分野、異文化の知識を組み合わせ、持続可能な解決策を練り、成果を発表しました。

 12月3日は、まず、社会課題のブレインストーミングから、身近にいる課題を持った人について考え、課題をグループ内で共有しました。そして、課題を持つ人の真のペインを取り除くにはどのような未来が理想的なのかを考え、ポスターを制作し、解決策を提案しました。

グループでの話し合い
ポスター制作

 12月4日は、西條教授及びファシリテーターとグループごとに面談を行い、最終プレゼンテーションに向けて、アドバイスを受けました。

西條教授との面談
最終発表に向けてのスライド制作

 最後に、本プログラムの連携企業関係者や本学プログラム担当者、海外アドバイザー教員など約60名の前で最終発表を行いました。 審査員による審査の結果、全6グループのプレゼンテーションの中で、最も素晴らしい提案を行ったグループには「Best Solution Award(Grand Winner)」を、また最もチームワークを発揮したプレゼンテーションを行ったグループには「Best Teamwork Award」を、そして最もプレゼンテーション力があるプレゼンテーターには「Best Presenter Award」が贈られました。

グループワークの最終発表
Best Presenter Awardを受賞した
Pauline van Deursenさんと
水本理事・副学長
Best Solution Awardを受賞したグループ3
Best Teamwork Awardを受賞したグループ2

グループワーク担当教員からのコメント

環境・社会理工学院・教授
西條 美紀

 “Future sharing economy & materials and information science”をテーマとしたのは、情報と材料という専門の異なる学生どちらにも過度に有利にならないこと、モノを所有することに代わる新しい消費のスタイルとして注目されていること、社会的課題を解決する潜在力をsharingという概念が持っていることなどの理由によります。わずか2か月の準備を経て3日にわたるAll Englishの討論合宿を行いました。Sharing Economyという新しいビジネスモデルを使い、3つのサブテーマに学生のグループを割り当ててグループワークを行い、その成果としてのビジネスプランの新規性、課題理解の深さ、解決策の科学的妥当性を競いました。この合宿には東工大生だけでなく初対面の海外学生も含まれ、学生たちは期間中、常に議論を深め、参加6チームがみな質の高いプレゼンを行いました。学生たちの傑出した能力と努力し続ける忍耐力がなければ決して実現しない合宿でした。   私はこの討論の計画から実装までを、 業務委託をした(株)リバネスとアイデアを出し合い実行しました。全て外注すれば巨額の経費がかかったことでしょう。良いものは高いのです。今回は初回ということもあり、学生から多くのフィードバックが寄せられました。来期、この形を継続するのであれば準備に時間をかけ、多くの教員を巻き込んでブラッシュアップする必要があると思います。

参加学生からのコメント

工学院 電気電子 
ライフエンジニアリングコース
博士後期課程1年 
QU SHILI

 このグループワークに参加できたことは素晴らしい経験でした。ビジネスと社会に対する私のビジョンを広げただけでなく、コミュニケーションと洞察の能力を鍛えました。 リーダーになったこと、スムーズなチームワークとすべてのチームメンバーから提供された素晴らしい斬新なアイデアのおかげで「Best Solution Award」を受賞できたことを光栄に思います。 私にとって、このプラットフォームは世界中の学生や教授と素晴らしい心の旅を提供し、チームワークや競争での多くの新しい考えをもたらしました。 これらは私の幸運となり、将来的に道を開くでしょう。

物質理工学院 応用化学系
エネルギーコース
博士後期課程1年
古賀 康友

 身の回りの社会問題からビジネスが創出されるプロセスを、実践を通して学べる貴重な期間となりました。また将来のキャリアとして、企業や研究職だけでなく、自らの研究分野をビジネスに繋げていく生き方もあるのだと知りました。国際色豊かで様々な価値観を持つグループでしたが、アイデアを共有していく中で、より洗練されたビジネスモデルを提案することができました。今回「Best Teamwork Award」をいただけたのも、メンバーの協力なくしては得られなかったものだと思っています。今回のグループワークを通してできた『繋がり』を大切にして、これからも研究に励んでいきたいです。

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連絡先 東京工業大学 物質・情報卓越教育院事務局
tac-mi[at]jim.titech.ac.jp