2024年度未来社会サービス創出ワークショップ開催
物質・情報卓越教育院(TAC-MI)は、12月19日と20日の2日間、2024年度未来社会サービス創出ワークショップを大磯プリンスホテル(神奈川県中郡大磯町)で開催しました。
本イベントは同会場で12月16日~18日に開催された「国際フォーラム」に続いて行われました。 未来社会サービス創出ワークショップは、俯瞰力・リーダーシップ力を涵養することを目的として、毎年1回開催しています。物質・情報卓越教育院の博士学生が海外の学生とともにグループを編成し、それぞれの研究における知識・経験等を生かしながら、未来社会における課題を設定し、その解決策を討論・提案します。
テーマ「未来の材料とそれによって実現される社会 極限環境で生きるための材料」
今年度は、本教育院の博士後期課程学生23名と海外学生7名、合計30名が参加し、「未来の材料とそれによって実現される社会 極限環境で生きるための材料」をテーマにワークショップを実施しました。 深海や宇宙、地中などの極限環境や飢餓や戦場、ウイルスパンデミックなど極限状態など、自分たちの住んでいる世界とは違う極限状態の世界を想像し、極限環境で生きるための未来の材料とそれによって実現される未来社会について考えました。
エクスカーションでチームの仲を深める
ワークショップ前日12月18日(水)のエクスカーションでは、グループメンバーの仲を深めるため、ワークショップのグループメンバーで、小田原城や鎌倉の大仏を見学しました。


テーマについて理解を深める:特別講演
1日目は、2日間のワークショップについての趣旨説明の後、グループワークを始めるにあたり、本テーマについて理解を深めるために、研究者の方をお招きし、テーマに関連した特別講演を行いました。
特別講演では、東京科学大学の藤井 学准教授に「Water environmental contamination and treatment technology」のタイトルで、先進国や途上国における持続可能な水利用の実現に向けた水処理技術の開発についてお話しいただきました。
続いて、2つ目の特別講演では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)研究領域主幹の桜井 誠人先生に「Chemical Engineering for Living in Space! -Environmental Control and Life Support System (ECLSS) and Material Circulation-」のタイトルで、国際宇宙ステーション(ISS)における酸素製造、二酸化炭素除去、空気再生など人間が生存できる環境を維持する環境制御・生命維持システム「ECLSS(エクルス)」についてご紹介いただきました。




チームで取り組む課題の選定
講演に続き、参加者は6グループに分かれ「極限環境や極限状況下で発生する問題を解決するための解決策と極限環境で生きるための未来の材料」について考えました。各グループには、グラフィック・ファシリテーターが1名ずつついて、議論の活性化を促し、話し合いの内容やアイデア構想をその場で分かりやすくイラストにまとめ可視化しました。 参加者はまず初めに極限環境や極限状況下で発生する問題について調査し、ワークシートに書き出しました。出てきた極限の環境や状況について意見を出し合い、チームで取り組む課題を選定しました。


課題が解決された未来を描き、解決策のプロトタイプを作成する
1日目午後のグループワークでは、設定した環境や状況についてさらに深掘りして考え、課題が解決された未来社会について想像し、解決策のプロトタイプを考えました。この日の最後に行われた中間発表では、各グループがポスター発表を行い、本学の教員や海外アドバイザーからフィードバックがありました。中間発表にてフィードバックを受けた後、各グループはアイデアをブラッシュアップしました。
2日目は、考え出した解決策について、「本当に極限環境や極限状況の問題を解決できているか」「すでに既存のサービスはないか」「他のことに悪影響を及ぼさないか」などさらに深堀して考え、午後の最終発表に向けて準備を進めました。






発表会・表彰式
~新規性賞、ムーンショット賞、社会的インパクト賞~
2日目午後の最終発表会では、各グループ提案するサービスを、対面とオンラインのハイブリッドで発表しました。
発表会には、本学教職員のほか、本プログラムの連携企業関係者、海外アドバイザー教員、TAC-MIの博士後期課程2年の学生など約90人が参加しました。 発表は各チームプレゼンテーション7分、質疑応答7分の持ち時間で進行しました。


各チームの発表後、発表を聞いた学生以外の参加者による投票を実施し、6人の審査員による審査を経て、賞が決定しました。表彰式では、物質・情報卓越教育院の山口 猛央教育院長より、新規性賞(Originality Award)、ムーンショット賞(Moonshot Award)、社会的インパクト賞(Social Impact Award)の受賞チームが発表され、各チームの発表に対する講評とともに賞が授与されました。
受賞チーム
Originality Award | グループ5 「Energy Recovery in ISS」 |
Moonshot Award | グループ4 「NEW ATLANTIS」 |
Social Impact Award | グループ1 「Uchi-Cool – a new solution for desert-living」 |




今年度もこれまで4年間実施した際に好評だったグラフィックレコーディングの手法を使って実施しました。グラフィック・ファシリテーターがアイデア構想をすぐにイラストにまとめることで、イメージがさらに具体化し、アイデアがより膨らみ、充実したグループワークとなりました。 参加者は2日という限られた時間で課題について深く考え、未来社会のサービスについて提案をしました。国際フォーラムでの研究発表とワークショップを行った5日間は、海外の学生や教員、TAC-MIの登録学生同士で、自身の研究やワークショップの課題についてディスカッションし交流を深める良い機会となりました。
